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【破綻率14%】保険屋さんが教えてくれない貯蓄型保険の落とし穴

 終身保険・学資保険・年金保険などの「貯蓄型生命保険」最大のリスクは「途中解約による元本割れ」でも「簡単に引き出せないこと」でもなく、「保険会社の倒産リスク」です。

 では、保険会社が倒産したら、生命保険の契約はどうなるのでしょう?その答えは「保険契約者保護機構(以下”保護機構”)」にありました。(「保護機構」は国内の生命保険会社が出資し、保険会社の破綻時には契約者を保護するセーフティネットの役割を担っています。)

 まずは結論から、保険会社が破綻したら、私たちの契約はこうなります。
  1. 「保険契約」は、「他の保険会社」もしくは「保護機構」に引き継がれる
  2. 「保険金額」は、定期保険のような掛け捨て型の保険はほとんど減額されず、終身保険・学資保険などの貯蓄型(積み立て型)の保険は大幅に減額される場合がある

    1.「保険契約」は別の保険会社に引き継がれる
     「保険契約」は、<ケース1>「破綻した保険会社」から「救済する他の保険会社」に引き継がれるか、<ケース2>救済会社が現れない場合は「保護機構」が保険会社を作り、契約を引き継ぎます。つまり突然、無保険になるわけではないので、そこは安心できます。

    2. 「保険金額」は半分以下に減額される場合も
     「保険契約」は引き継がれますが、「保険の金額(=契約時に約束された保険金)」はそうはいきません。「保護機構」のパンフレットにはこう書いてあります。
    • 保険種類別
      保障性の高い保険(定期保険等)では保険金額の減少幅は小さく(減少しない場合もあります)、貯蓄性の高い保険(養老保険、終身保険、個人年金保険等)では減少幅が大きくなります
    • 加入時期別
      予定利率が高い時期にご加入された契約ほど、保険金額の減少幅が大きくなります。
    • 保険期間別
      加入の時期が同じ契約でも、満期までの期間が長いほど減少幅が大きくなります。
    これではよく分からないので「金融庁」の資料から過去の破綻例をまとめてみました。
    「P10<過去の破綻の例>破綻した生命保険会社の破綻後の受け取り保険金額」から抜粋

    <破綻後の受け取り保険金額の減額幅>
    hatanrei2.jpg

     例えば、千代田生命で1000万円の保険商品に10年加入していた場合、定期保険であれば破綻後もほぼ影響なし、養老保険で-41%=約400万円減額、終身保険で-65%=約650万円減額となったことになります。

     確かに「保護機構」の言うように、「かけ捨て型の保険は減額がほとんどなく、貯蓄型の保険で契約年数が長いものほど大幅に減額された」ようです。また過去には高利率を約束されたお宝保険もあったので、予定利率が強制的に引き下げられ、保険金の減額幅がさらに大きくなったと思われます。

     衝撃的な数字が並びますが、お宝保険の利率が大幅に引き下げられた影響も大きいため、支払い元本から上記の金額が減額されるわけではありませんが、加入時に想定していた保険金額からこれだけ減額されると人生設計すら狂いかねません。ひとつの体験談にすぎませんが、私の親戚が倒産した2社に入っていて、貯蓄のほとんどを保険に任せていたので大変な思いをしたようです。

    破綻率14%の悲劇
     過去に破綻した保険会社は2009年に破綻した大和生命をあわせて計8社、今ある保険会社が47社ですから、(あくまで過去の数字ですが)保険会社の破綻率は約14.5%です。しかも過去15年の間にこれだけの保険会社が倒産したため、軽視できない数字です

    ”万が一”を想定した金融商品選びを
     「生命保険は掛け捨てか?積み立て型か?」を考えたとき、JALがこのような状態になることを想像できなかった私は、20年後30年後も倒産しない保険会社を選ぶ自信がなかったので、ネット生保の定期保険を選びました。

     ここで大切なのは、貯蓄型の生命保険がダメということではなく、生命保険のリスクを知った上で加入することです。学資保険や年金保険など”普通預金よりも利率が高そう”という理由で加入する前に、「過去の事実と将来起こりうる最悪のケース」を想定しておく必要があります。例えば、保険会社が破綻しても自分の人生設計が狂わない程度の額にするなどリスクを分散しておくのも手だと思います。

     自分や家族の”万が一”を考えて加入する生命保険ですから、生命保険会社の”万が一”も考えて加入したいところです。

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    恐らく、意図的にやっているとは思うのですが、せっかくですので釣られます。

    保険会社の数と破綻した保険会社の数で比率を計算するのはちょっとずるい気がします(;´∀`)

    契約者数も最大手と破綻した生保では大分異なるのではないでしょうか?

    それでも、私や十一屋さんが30年以内に死ぬ確立よりは生命保険会社が破綻する確率のほうが高いようには感じます。

    Re: タイトルなし

    >のらさん
    鋭い突っ込み、ありがとうございます!
    おっしゃる通り、過去「倒産の憂き目にあった人の割合」ではないです。
    また、今後15年で同じ確率で発生するわけでもありません。

    35歳の私があと30年で亡くなるのが先か?保険会社がなくなるのが先か?
    けっこうきわどい勝負かもしれません↓
    http://39saku39saku.blog129.fc2.com/blog-entry-90.html

    質問です

    データーは比較的、予定利率が高い時代の事だと思います。今の低い予定利率でも削減率はこのようになるのでしょうか?

    Re: 質問です

    >カズさん
    返信遅れ申し訳ありません。ご質問のとおり元から予定利率の低い商品では、今回紹介した削減率にはならないと思います。(予定利率の低い商品の破綻後の削減率は見つかりませんでしたが)

    はじめまして。

    こちらでの記事を読んでいろいろ勉強してたところです。

    今現在私はオリックス生命のキュアSという保険に入っています。
    1度も入院しなくても払った金額よりも多くの死亡保険金が出るという理由でした。日額5000円で死亡保険金は250万です。

    半年前知り合いに進められるままになんとなく加入していたのですが、この保険主契約が医療保険のようなのですがキュアSではオリックス生命が破綻した際、入院日額や死亡保険金は大幅に削除されるのでしょうか?

    この記事を読んでからキュアSを解約して最低限の死亡保障を掛け捨てにして自分貯金に回していったほうがいいのかなと思ってきたところです。

    はじ

    初めて訪れました。勉強になりました。私は最低限の掛け捨てにしています。
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