そうだったのか!「保険の二重課税」問題
生命保険の年金受け取り部分への課税について、最高裁が「二重課税」と判断しました。
新聞、ニュースサイトでも多く取り上げられています。
そもそも・・・
新聞、ニュースサイトでも多く取り上げられています。
生命保険、年金部分への所得税は「二重課税」 最高裁
夫が死亡し妻が受け取った生命保険金をめぐり、分割で受け取る年金部分には相続税だけでなく所得税も課す実務が適正かどうかが争われた訴訟の上告審判決が6日、最高裁であった。第三小法廷(那須弘平裁判長)は「相続税の対象となった分に所得税を課すのは二重課税にあたる」との初判断を示した。その上で、課税を容認した二審・福岡高裁判決を破棄し、国税側の課税処分を取り消した。納税者側が勝訴した一審・長崎地裁判決が確定した。
2010年7月6日 asahi.com
そもそも・・・
- 「生命保険の年金部分」って何?
- 保険金の「二重課税」って何?
1.「生命保険の年金部分」とは?
まず、生命保険を年金収入のように受け取ることができる保険は、『収入保障保険』や『家族収入保険』と呼ばれています。
「収入保障保険」を簡単に説明すると、「本来は一括で受け取る保険金を、年金のように分割で受け取れる仕組みを持った保険商品」です。
つまり「生命保険の年金部分」とは、毎月分割して受け取る保険金のことです。
図で書くとこんな感じです。

例えば「保険金1,000万を一括で受け取らず、年100万ずつに分割して受け取ると、普通に考えたら「100万×10年=1,000万」で終わるのですが、受け取っていないお金は保険会社が運用してくれるため、仮に2%くらいの利回りで運用されると「100万×11年=1,100万円」受け取る事が可能です。
また、少しずつ保険金を支払ってくれるので、一気にお金を使ってしまいそうな人にはメリットがあります。
2.保険金の「二重課税」とは?
まず「保険金1,000万円を一括で受け取る生命保険」の場合、保険金を受け取ったことに対して「相続税」が発生します。
相続税は「5,000万+(1,000万×相続人)」の相続財産までは非課税で、生命保険金はさらに「500万×相続人」の非課税枠があるので、保険金を受け取っても課税される人はあまりいないでしょう。
この場合、相続税によって課税関係が終了します。(ここ重要)
(当たり前ですが、銀行口座に振り込まれた保険金1,000万を毎年100万ずつ引き出したところで、課税されません。)
さて今回問題となった、「収入保障保険」の課税はこうなっていました。

明らかに「二重課税」です。相続財産に所得税は課せないと規定した所得税法に反します。
(最高裁も判断したもんだから、強気に言ってみました。。。)
※「年金受給権」はいくらか?年金部分の課税は?については、以下のサイトが詳しかったのでここでは省略します。
「子育てまっぷ:収入保障保険の落とし穴」
これまで国税の実務で40年以上も行われてきた二重課税に対して、主婦と担当の税理士が真っ向から訴えました。最初の裁判から約4年、最高裁まで争った結果、ついに逆転勝訴を勝ち取りました。他にも同様の二重課税を、不当に受けていた個人にとっては朗報です。(実務処理をする人にとってはスーパー・スペシャル・ウルトラ・バッドニュースです)
では今回の判決によって、「課税1」以外の課税が完全になくなるかというと、そうではないらしいです。「年金支給額のうち”運用益にあたる部分”には課税される」らしいのですが、その点は納得です。(というか、運用益を誰が証明するの?保険会社?)
さてここまで調べてみると、保険の税金よりも「株を相続した時の課税」と「それを売却した時の課税」への影響が大きいのではないか?これも二重課税では?と思えてきました。
その辺はまた次回。
参考:
国税庁:遺族が年金形式で受け取る生命保険金に対する所得税の課税の取消しについて
MSN産経ニュース:二重課税に常識的判断 対応迫られる国税当局
毎日.jp社説:二重課税判決 徴税の不合理も問題だ
吉永康樹のCFO News:年金型生保に二重課税認定
日経マネーDIGITAL:「収入保障保険」は合理的な仕組みだけれど…
高輪共同法律事務所ブログ:[税務争訟]相続税と所得税をめぐる二重課税
まず、生命保険を年金収入のように受け取ることができる保険は、『収入保障保険』や『家族収入保険』と呼ばれています。
「収入保障保険」を簡単に説明すると、「本来は一括で受け取る保険金を、年金のように分割で受け取れる仕組みを持った保険商品」です。
つまり「生命保険の年金部分」とは、毎月分割して受け取る保険金のことです。
図で書くとこんな感じです。

例えば「保険金1,000万を一括で受け取らず、年100万ずつに分割して受け取ると、普通に考えたら「100万×10年=1,000万」で終わるのですが、受け取っていないお金は保険会社が運用してくれるため、仮に2%くらいの利回りで運用されると「100万×11年=1,100万円」受け取る事が可能です。
また、少しずつ保険金を支払ってくれるので、一気にお金を使ってしまいそうな人にはメリットがあります。
2.保険金の「二重課税」とは?
まず「保険金1,000万円を一括で受け取る生命保険」の場合、保険金を受け取ったことに対して「相続税」が発生します。
相続税は「5,000万+(1,000万×相続人)」の相続財産までは非課税で、生命保険金はさらに「500万×相続人」の非課税枠があるので、保険金を受け取っても課税される人はあまりいないでしょう。
この場合、相続税によって課税関係が終了します。(ここ重要)
(当たり前ですが、銀行口座に振り込まれた保険金1,000万を毎年100万ずつ引き出したところで、課税されません。)
さて今回問題となった、「収入保障保険」の課税はこうなっていました。

- 課税1.相続時に「年金受給権」として課税
- 課税2.保険金を毎月受け取った時に所得税を課税
明らかに「二重課税」です。相続財産に所得税は課せないと規定した所得税法に反します。
(最高裁も判断したもんだから、強気に言ってみました。。。)
※「年金受給権」はいくらか?年金部分の課税は?については、以下のサイトが詳しかったのでここでは省略します。
「子育てまっぷ:収入保障保険の落とし穴」
これまで国税の実務で40年以上も行われてきた二重課税に対して、主婦と担当の税理士が真っ向から訴えました。最初の裁判から約4年、最高裁まで争った結果、ついに逆転勝訴を勝ち取りました。他にも同様の二重課税を、不当に受けていた個人にとっては朗報です。(実務処理をする人にとってはスーパー・スペシャル・ウルトラ・バッドニュースです)
では今回の判決によって、「課税1」以外の課税が完全になくなるかというと、そうではないらしいです。「年金支給額のうち”運用益にあたる部分”には課税される」らしいのですが、その点は納得です。(というか、運用益を誰が証明するの?保険会社?)
さてここまで調べてみると、保険の税金よりも「株を相続した時の課税」と「それを売却した時の課税」への影響が大きいのではないか?これも二重課税では?と思えてきました。
その辺はまた次回。
参考:
国税庁:遺族が年金形式で受け取る生命保険金に対する所得税の課税の取消しについて
MSN産経ニュース:二重課税に常識的判断 対応迫られる国税当局
毎日.jp社説:二重課税判決 徴税の不合理も問題だ
吉永康樹のCFO News:年金型生保に二重課税認定
日経マネーDIGITAL:「収入保障保険」は合理的な仕組みだけれど…
高輪共同法律事務所ブログ:[税務争訟]相続税と所得税をめぐる二重課税